介護ストレス解消法を考える

介護ストレス

ストレスの原因

生理学者であるハンス・セリエは、ストレス原因を4つに分類しました。

1.物理的ストレッサ―:気温・騒音・混雑など
2.化学的ストレッサ―:公害・薬物・酸素欠乏・栄養・酒・タバコなど
3.身体・生理的ストレッサ―:疲労・不眠・病気・けがなど
4.心理的・社会的ストレッサ―:人間関係・仕事上の問題・家族の問題

ストレッサーとは、ストレスになるそのもののこと。
「外的要因」と「内的要因」に分けられます。

「外的要因」=物理的ストレッサ― と 化学的ストレッサー
「内的要因」=心理的・社会的ストレッサー と 身体・生理的ストレッサ―

親御さんを介護する

『ホームズとレイのストレス度表(社会的再適応評価尺度)』(1位~43位)における、
ライフイベントのストレス尺度のうち、以下のものがあります。

11位「家族の一員が健康を害する」
15位「新しい仕事への再適応」
16位「経済状態の大きな変化」
19位「配偶者との論争回数の大きな変化」

これはそれぞれ、
親御さんの健康状態の変化
仕事を持っている方にとっては、介護に伴い職種や仕事場を変えざるを得ない、
あるいは辞めざるを得なくなる介護離職
それに伴う経済的変化
義理の親御さんの場合、パートナーとの連携

など、ストレス尺度の要因にあてはまります。

 

 

介護をする方の主なストレス原因

介護する方のストレスは、さまざまな要因が絡み合っています。

まず、介護は家族に心身健康上の大きな変化が起きたことから始まります。
家族の健康上の不安は、11位のストレス尺度にあてはまり大きなストレッサ―です。

時間がなくなる

介護にあてる時間が一日の中で激増します。
特に最初のうちは、どうやっていったらよいのかを、24時間ずっと考え込んでしまうこともあります。仕事を持っている方にとっては、働き方を変えなければならなくなることもあるでしょう。

私は究極の離職を選んでしまいましたが、そうなると経済的な不安が襲ってきます。

また、例えば、夜に友達と食事に行く、飲みに行く、などができにくくなります。
もし家族や周りの協力がない場合、ひとりで親の介護をしなければならない場合は、
やはり夜の時間帯に親をひとりで置いておけないと、外で食事していても気もそぞろに。

飲んでいる場合ではないとすぐ帰宅し、また世話をし始めたら、ひとりにしていた時間が経っている分、お世話に更に時間がかかります。こうなると、ひと息つくひまもなく、時間が制限されていることに徐々に圧迫感を覚えてきます。

 

 

環境の変化、経済的な負担

介護にかかるお金が発生してくると、経済的な変化が生じます。
これまでの家族間の在り方も変わってくるでしょう。意見が合わないことも起こります。

自宅で介護をする場合は、介護しやすい場所の部屋への移動を考えて、
部屋を変えなければいけなくなりますし、常に気温に気を配らなければなりません。

介護をする者にとって、多方面から不安が矢のように襲ってくる感覚に陥ります。

 

介護ストレスの対処法

 

こういった様々なストレスに対して、どう対処していけばよいでしょうか。

物理的に不便な点を最初に見直す

トイレが遠い、玄関まで狭い、など、介護される側もする側も
不便な動線をできるだけ少なくしていくことが大切です。
介護がスムーズにできるように、ストレス減少のため、動線を見直しましょう。

 

◆確認しておきましょう さまざまなホウレンソウ
・介護動線、家族の動線 >家の中、外出時、帰宅時の部屋から部屋への動線
・医療・介護サービス事業者との連絡・相談
・家族に対して報告・連絡・相談の方法や時間
・職場に対して介護の報告・連絡・相談 > 時短にするか、休業するか、など
・介護リスクを想定した報告・連絡・相談

 

◆協力してくれる人
介護は1人でできるものではありません。
医師・看護師・地域包括支援センター・ケアマネジャー・介護事業者など、自治体を通した物理的な協力者は必要です。

それ以外に、普段のあなたを精神的に支えてくれる協力者は更に大切です。
パートナーであれ、お子さんであれ、お友達、兄弟姉妹、お友達でも、とにかく理解してくれて相談できる相手を必ずみつけておきましょう。

 

介護に取り組む大事な姿勢

「やらねばならない」「親の介護はやって当然」と思い過ぎたり、
そして【そう思われているからやる】という受け身的な考えでいると身体も心ももちません。
「自分で介護することを自分で決めた」という積極的な考え方をもちましょう。

これはもちろん、介護に限りませんね。「やらねばならぬ」ことを無理してやるより、「自分がやろうと決めた」「やるのだと決めたことをやる」この方が何倍もやりがいがありますし、気持ちも楽です。

辛い時は辛いと素直に出す。楽しんでやろうと決める。など、
自分で能動的に決めていくことでストレス度合いは何倍も薄くなります。

介護をしてよかったと思えること、これまでの楽しかった思い出、昔の写真を懐かしく見ながら笑い合える、そんな介護できると心は元気になっていきます。

介護をネガティブに考えると、どこまでも落ちていきます。
それは、出口が見えないから。将来不安はどこまでも広がってしまいますので、気持ちを前向きに整えるために、介護をしていても幸せな自分をイメ―ジしましょう。

今日一日、無事に介護が終えられた時は、自分で自分を誉めてあげましょう

 

 

介護ストレスは周りに相談して解消を

介護するための基礎知識

地域の介護者の会や研修などに参加すると、思わぬ副産物に出会えます。
私も、時にすべてを吐き出したいと思い、少し離れた地域で行っている介護者のためのお茶会に参加したことがあります。

そこでは、ボランティアでアロママッサージをして下さる方がいて、
思いがけず、久しぶりに腕のマッサージを受けました。
セルフケアなどすっかり忘れていた頃でした。

優しい香りにホッとしながら肌のぬくもりを感じるマッサージを受け終わった時、気持ちが晴れやかになっていました。香りもマッサージも効果があったのだと思いますが、人は人で癒されることを実感したものです。

その場では、介護者たちの困りごと、悩みごとなどを出す事ができて、
とても気持ちが楽になったことも気持ちの切り替えには効果がありました。

 

 

その他、本やインターネットなどから、介護を行うための知識や情報を取っておきましょう。
その際には、信頼おけるところからの情報か、必ず確認して取るようにしましょう。


リフレッシュする

上に書いたようにマッサージなど、セルフケアは介護者にとって必要不可欠と思っています。
ご自身の生活、人生を大切にして、心身共に喜びを持てる時間、リフレッシュの時間を意識してとりましょう。

まず、睡眠はしっかりと。そして好きな音楽を聴く、読書
ストレス発散できるような映画、映画は泣けるものかスカッとする内容がよいでしょう。

また、友人との交流も途絶えてはいけません。
適度な運動も必要です。旅行にはなかなかいけないかもしれませんが、
協力者に一時的に介護を頼むか、地域のサービスを利用して一泊~二泊程度の小旅行をする。

など、リフレッシュ、気分を切り替える時間を持つようにしましょう。

※お酒は適度に。逆にストレスの元になることもありますので適量にしましょう。

 

1人で抱えない

 

いつ終わりがくるのかわからないのが介護です。
介護する側される側、どちらも無理や我慢をして1人で抱え込まないことが大切です。

少しでもストレスを溜め込んだと感じた時、上に記したような
リフレッシュ方法をやりつくしてもなお、辛い気持ちが続くときは、
カウンセリングを受ける。

カウンセリングによって、ご自身を大切に扱えるようになることは
心身共に健全でいられる、とても大切なケアになるでしょう。