今日は愛着障害について
「愛着障害」の端緒は、第二次世界大戦後、研究者たちにより
ヨーロッパにて戦災孤児たちの調査が行われたことからでした
戦争で親を失い、施設に入れられた子供たちに
成長不良や発達に問題がみられたといいます
当初はこの状態は「母性剥奪」と呼ばれましたが、
その後、愛着という観点からとらえなおされて
愛着の崩壊、不安定な愛着問題として
研究者たちが理解するようになったとされています
愛着は人生の土台。
家でいえば、敷地の地面の さらに奥深く
揺るぎのない安定した地盤にあたります
その上に建てなければ、どんなにステキな家でも
グラグラで安心して住めません
安定した愛着が安定した人生につながります
◎愛着の不安定の原因とは
愛着が不安定になる原因は、
多くが乳幼児期に育った環境です
問題は「環境」なのです
生きづらさは、本人自身の問題ではありません
そして
愛着障害は克服することができます
◎大きく分けて「安定型」と「不安定型」
ストレスや恐れ、脅威が近づくと、
愛着を担っている脳の仕組み「愛着システム」が発動され
さまざまな症状が誘発されます
人によって出方は千差万別
「安定型」の愛着では
ストレスや恐れに対して、適度に脳内の愛着システムが働いて
ほどよく愛着行動が起こることで
ストレスの緩和や安定が守られています
しかし
「不安定型」の愛着の人は、ストレスや恐れを感じても
愛着行動がほぼ見られないことがあります
脳内の愛着システムがバグっている状態です
愛着システムができあがるはずの乳幼児の頃に
親に抱き着くとか、抱きしめられるとか
よしよしと頭を撫でられる、スキンシップをし合うなど
こういった愛着行動を求めても
拒絶されたり、無視され続けた結果
最初からそれを求めない方が、自分の心は傷つかない
だから最初から愛着行動はとらない、と
脳の愛着に対するシステムが決められてしまったのです
◎様々な出方のパターン
ストレスや恐れに対して、
過剰に愛着行動を起こすパターンもあります
愛着システムが過剰反応を起こして
少しでも愛の対象が離れていきそうな気配を感じるだけで
強い不安に陥り、大騒ぎをして注目を集め
相手をつなぎとめようとします
幼少期 愛着システムを育む時期に
過剰に反応すると対象者が離れていかないことを感知
親の関心が自分に向けられることがあまりないが
おおげさに騒げばかまってもらえる、ということを知り
自分が守られている感覚になったことを学んでしまった結果です
子供が何かをしてほしくて、地面に突っ伏して泣き叫んでいる
なんて姿を時々見ます
この間、買い物帰りに見かけたのですが
道路に仰向けに寝て、空に向かって足をバタバタさせて
いやだー! まだ帰らないー! あれ買ってよー!
と、ものすごい大声で叫んでいる男の子がいました
お父さんは、なんとも情けない顔をして
その子をただ黙って見下ろすばかり
途方に暮れいているようでした
公の道路で、仰向けになって足をバタバタしている姿を目にした時は、
ちょっと笑ってしまうほどでしたが
大事な時期の子育ての大変さを思ったら
笑えないな~と、改めて感じました
また、さらに、正反対な態度をとる愛着行動もあります
本当はそばにいてほしいのに拒否したり
攻撃したり、無関心を装ったり
これも、愛着行動の過剰な脳の戦略を身に付けてしまった結果であり
この場合は深刻です
大人なっても、今の成人の約3割が
不安定型の愛着をもっているとされています
こうなると、対人関係においてコミュニケーションが難しく
不安やうつの精神的問題を抱えやすくなってしまいます
このような不安定型の愛着に伴い
日常に支障をきたしている状態のことを
「愛着障害」と表現しています
親のネグレクトや虐待による「反応性愛着障害」とは
区別されている表現です
愛着障害は、適切なカウンセリングにより
克服していく事ができます
どうぞお問合せください